事例紹介/事例01 病理診断の結果:ステージ1の膵臓がん

当事例の概要

尾部の主膵管拡張は2mm程度と軽微、腫瘤形成は認めず、膵臓がんを疑うことが少ないであろうとされる事例です。当院では、くびれ様の限局的萎縮から膵臓がんの存在を疑い、遅延相での境界不明瞭な濃染域(約2㎝ほど)を同定し、膵臓がんの可能性を指摘しました。

術後病理結果

T1 N0M0 Stage1A

撮影内容

上腹部CT(造影有)

所見

膵体尾部移行部は一部くびれ様の限局的な萎縮を示します。膵に明瞭な腫瘤形成は認められませんが、同部で主膵管はやや不明瞭となり狭窄が疑われ、尾部の主膵管は2mm程度ですが僅かに拡張気味です。造影Dynamicの早期相で明瞭な濃染不良域は認めませんが、遅延相では境界不明瞭な濃染域(約2cmほど)を認めます。膵がんの可能性を考慮し精査が必要です。

膵周囲、傍大動脈にリンパ節腫大はみとめません。
肝右葉に小嚢胞を数個認めます。
胆嚢・総胆管に明らかな異常を認めません。
脾・腎・副腎に明らかな異常を認めません。
骨盤内に明らかな異常を認めません。

診断

膵体尾部移行部萎縮+遅延濃染
:比較的早期の膵がんの可能性があります。精査をお願いいたします。