事例紹介/事例06 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん

当事例の概要

膵実質の萎縮、辺縁の凹凸、軽度脂肪置換があり、危険度が高いと判断し注視していたところ、造影により濃染があり、検査直前のMRIによるDWI高信号と一致したため、膵臓がんの可能性が高いことを指摘した事例です。その後病理診断で膵臓がんのStageⅠであることが判明しました。

撮影内容

胸部~骨盤CT(造影有)

所見

2016/01/15のCT検査、2020/01/10のMRIと比較しました。
膵実質の不均一な萎縮辺縁の凹凸軽度脂肪置換を認めます。
膵尾部に10mmの遅延性濃染域を認めますMRIで見られたT1WI低信号DWI高信号の領域と一致しています。MRIではこの病変の頭側に小嚢胞が見られていましたが、CTでは不明瞭です。
主膵管拡張を認めません。

脾動静脈の狭小化を認めません。

S状結腸がん術後。
右肺下葉切除後。右肺S3に新たなすりガラス影を認めますが、炎症性変化疑いです。
肝転移術後。新たな肝腫瘤を認めません。
胆嚢に腫大、壁肥厚、結石を認めません。
右腎嚢胞を認めます。
副腎、脾臓に異常所見を認めません。
リンパ節腫大、胸腹水貯留を認めません。

診断

膵尾部の遅延性濃染域
通常型膵がんの他、神経内分泌腫瘍の可能性もあり。
明らかな浸潤、転移を認めません。