事例紹介/事例07 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん
当事例の概要
大き目の嚢胞があり、尾部主膵管の拡張と一部狭小化が疑われました。明らかな腫瘤形成はなく、造影での異常濃染域も認められませんでしたが、危険(ハイリスク)画像であることを伝えたところ、早期膵臓がんのStageⅠであることが判明した事例です。
病理結果
Intraductal Papillary Mucinous Carcinoma, invasive of the pancreas body and tail, DP. Well differentiated adenocarcinoma. n0/31, φ3x2mm, Stage ⅠA
撮影内容
膵臓CT(造影有)
所見
<前回MRI2014/08/25を参考にしました。>
膵頭部には23x10mm,尾部には9mmほどの嚢胞を認めます。MRCP所見と同様に主膵管は尾部の嚢胞より尾側で4mmと拡張を示し、拡張部と嚢胞間の主膵管では狭小化が疑われます。同部に明らかな腫瘤形成は認められず、異常な濃染域も認められません。明らかな浸潤がんは指摘できませんが、より早期の病変の否定は困難です。
肝に小嚢胞を認めます。
胆嚢・脾・腎・副腎・膀胱に明らかな異常を認めません。
腎動脈分岐下の腹部大動脈に軽度の動脈瘤様拡張(前後径の外径26mm,横径27mm)を認めます。
下行結腸・S状結腸に多発する憩室を認めます。
前立腺は正常上限~軽度の肥大程度です。
診断
膵嚢胞(IPMN)+尾部主膵管拡張+尾部主膵管狭窄疑い
:明らかな浸潤がんは認めませんが、Cyst+MPD拡張でハイリスクです。
CISの否定に注意が必要です。
腹部大動脈瘤疑い(軽度)
大腸憩室(D/C~S/C)