事例紹介/事例08 病理診断の結果: ステージ0の膵臓がん
当事例の概要
2013年4月より当院にて定期的にフォローアップ検査を実施していた症例です。
6年後の腹部MRI検査、胸部~骨盤の造影検査にて膵体部のくびれ状萎縮変形が進行しており、悪性病変の初期変化として注意喚起していました。それから3年後の造影MRI検査にて、くびれ状萎縮部にDWI高信号、造影後の遅延相に濃染域、主膵管の軽度狭小化を認め、早期膵臓がんの可能性を指摘しました。
病理結果
Tis(pTis pN0 M0 Stage0 pR0)
撮影内容
MRI(造影有)
所見
2019/01/19のMRI検査および2019/2/2胸部~骨盤造影CT検査と比較しました。
膵実質の不均一萎縮、体部のくびれ状萎縮を認めます。萎縮の程度は著変ありません。(図1)
膵体部のくびれ状萎縮部はDWI高信号で、造影後に遅延性の増強効果が見られます。MRCPでは微小嚢胞と主膵管の軽度狭小化が見られます。これらは以前の検査より明瞭になっています。(図1-5)
主膵管は膵頭部で屈曲蛇行し、副膵管の描出があります。
肝実質の脂肪含有率は6%程度で軽度脂肪肝です。(図6)
肝、両腎に嚢胞が散在しています。(前回CTでS4血管腫としたものも、嚢胞のようです)
胆嚢ポリープについてはMRI上は不明瞭です。
副腎、脾臓に異常所見を認めません。
消化管に粗大病変を認めません。
上腹部にリンパ節腫大、腹水貯留を認めません。
診断
膵体部のくびれ状萎縮+DWI高信号+遅延性増強効果+主膵管狭小化。(図1-5)
:腫瘍初期病変を疑います。EUS、細胞診などさらなる精査をご検討ください。
軽度脂肪肝。(図6) 肝、両腎の嚢胞。