事例紹介/事例10 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん
当事例の概要
前回の腹部MRI検査(事例9)にて膵体部のくびれ状萎縮、主膵管狭小化および上流の主膵管拡張を認めた症例です。追加精査のため今回は胸腹部造影CT検査を実施しました。
今回も膵体部のくびれ状萎縮、遅延濃染、主膵管狭小化および上流拡張を認め、早期の膵体部がんの可能性を指摘した症例です。
病理結果
st1sN0M0
撮影内容
CT(造影有)
所見
2021/04/19のMRI検査と比較しました。
膵体部にくびれ状萎縮、遅延濃染、主膵管狭小化を認めます。上流の主膵管が拡張しています。膵がんが疑われる所見です。膵外への明らかな浸潤所見は認められません。(図1)
膵内に5mmまでの嚢胞、分枝拡張が多発しています。貯留嚢胞、分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)などの混在が疑われます。(図2)
肝門部のリンパ節が短径7mmに描出されます。明らかな転移とは言えません。(図3)
その他、有意なリンパ節腫大を認めません。
明らかな播種結節、腹水貯留を認めません。
両肺下葉に多角形結節を数個認めます。炎症後変化をまず疑います。(図4-6)
肝は軽度脂肪肝です。明らかな肝転移を認めません。
肝、両腎に嚢胞を認めます。
副腎、脾臓、子宮、卵巣に異常所見を認めません。
結腸憩室を認めます。
診断
膵体部がん疑い。明らかな膵外浸潤、転移を認めません。(図1)
多発膵嚢胞:貯留嚢胞、分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)などの混在が疑われます。(図2)
両肺多角形結節:炎症後変化をまず疑いますが、経過観察お願いします。(図4-6)
軽度脂肪肝。