事例紹介/事例14 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん

当事例の概要

膵頭体部移行部の主膵管途絶部および体尾部の主膵管壁、膵実質に遅延濃染を認めた症例です。
膵体尾部の主膵管は8mmと拡張し、途絶部には拡散強調像での高信号を認め、体尾部膵実質も萎縮気味でした。
膵頭部、途絶部位周囲にも嚢胞が散見され、早期膵臓がんの可能性を指摘しました。

病理結果

pT1b pN0 StageIA pR0

撮影内容

MRI(造影有)

所見

【上腹部(造影)MRI検査】
膵体尾部主膵管は8mmと拡張し、体尾部膵実質は萎縮気味です。
膵頭体部移行部の主膵管途絶部は、拡散強調像で高信号、造影後には境界不明瞭な遅延濃染を途絶部と体尾部主膵管壁および膵実質にも濃染を認めます。体尾部の濃染は随伴性膵炎を疑いますが、一部は連続する病変の可能性もあります。明瞭な膵外への浸潤を示す腫瘤は指摘できません。比較的早期の膵がん(Ⅰ期~Ⅱ期)が疑われます。
膵頭部に14x7mm嚢胞、そのほかにも5mm以下の小嚢胞を散見します。

周囲に明らかなリンパ節腫大は指摘できません。
・肝内に転移を疑う占拠性病変は指摘できません。
・胆嚢底部に腺筋腫症を疑います。
・両腎に小嚢胞を認めます。
・脾・副腎に明らかな異常を認めません。
・傍大動脈リンパ節腫大を認めません。

診断

膵がん(頭体部移行部)疑い
:Ⅰ期(>Ⅱ期)疑うが、尾側辺縁はギリギリ、体尾部に濃染あり
:尾部主膵管は8mmと拡張、膵頭部や途絶部周囲に嚢胞散見

・胆嚢腺筋腫症疑い、腎小嚢胞