事例紹介/事例17 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん

当事例の概要

人間ドックのオプション検査で、受診した当院の膵臓MRIドックにより膵尾部に主膵管拡張が認められ早期膵臓がんが示唆された症例です。
主膵管の閉塞部位に拡散強調高信号や明らかな充実性腫瘤像は認めませんでしたが、CPR像膵実質のくびれ状変形、分枝膵管の拡張、小嚢胞など複合的所見が認められました。

病理結果

T1aN0M0 Stage1A

撮影内容

上腹部MRI (造影無)

所見

腹部MRI

膵管拡張、膵体尾部腫瘍疑い
・膵体部尾部の移行部付近から尾部側の不整な膵管拡張(尾部で4mm)が見られます(図1)。  分枝膵管の拡張も複数みられ、貯留嚢胞らしき小嚢胞も認めます(図1)。
 閉塞部位と思われる部位に拡散高信号は認めませんが(図2)、T2強調高信号では10mm×5mmの不整な軽度高信号示します(図3,4)。
 CPR像で見るとくびれ状変形を疑う部位です(図5)。
 膵癌(体尾部癌)の存在を疑い、内視鏡的精査(EUS、細胞診等)望まれます。

◇軽度脂肪肝疑い(図6)
・肝内脂肪含有率(Fat fraction)は、8%と軽度の脂肪肝を示します(図6)。
 (<5%;正常、5%~15%;軽度脂肪肝、15%~20%;中等度脂肪肝、20%<;高度)
 肝には腫瘍疑う病変は指摘できません。

・両腎嚢胞多数あります(図7)。
・胆嚢壁や胆嚢内の病変を認めません。肝外胆管の病変を認めません。
・有意なリンパ節腫大や腹水貯留は認めません。
・副腎、脾、範囲内消化管その他に特記すべき病変を認めません。

診断

・膵体尾部主膵管拡張、膵体尾部腫瘍疑い(図1-5)
膵体尾部癌を疑い、内視鏡的精査(EUS、膵液細胞診)が望まれます。

・軽度脂肪肝疑い(図6)