事例紹介/事例18 病理診断の結果: ステージ0の膵臓がん
当事例の概要
2019年に当院ドックを受診、2022年に再度当院ドックを受診したことにより早期膵臓がんの可能性を指摘できた症例です。
当時の結果では、膵頭部の分枝型IPMN(分葉状24×12mmの多房性嚢胞)、主膵管軽度拡張(最大3.3mm)、膵尾部主膵管の軽度広狭不整を認め、
その後のフォローについては、近医で行っていました。
2022年にあらためて当院ドックを受診したところ、主膵管拡張が増悪(6-7mm)、膵頭部の多房性嚢胞性病変も3cm以上に増大し、頭部嚢胞内に拡散強調像で高信号部位が出現。同部位で主膵管狭窄と狭窄後拡張を認めました。
当院の膵胆肝外来を受診後、超音波内視鏡検査(EUS)の実施に至りました症例です。
病理結果
pTis pN0 MX Stage0 pR0 IPMC
撮影内容
MRI MRCP (造影無)
所見
主膵管拡張が増悪しています。6-7mm程度。尾部は広狭不整目立つ。(図 1)
膵頭部嚢胞性病変も3cm以上まで増大している。膵尾部萎縮もやや増悪にみえます。(図 1)
頭部にDWI高信号がみられます。頭部嚢胞内と思われる。AUS、造影CTや、必要に応じてEUS等での精査をお願いします。(図 2)
体部もDWI高信号がみられますがこちらは分布や形態よりアーチファクトを考えたいです。(図 3)
肝嚢胞を認めます。
胆嚢に腫大、結石、壁肥厚を認めません。胆管拡張、結石を認めません。
脾臓・副腎に明らかな異常所見を指摘できません。
腎嚢胞を認めます。(図 4)
消化管に粗大な腫瘤性病変を指摘できません。
病的腹水貯留は指摘できません。腹部に病的なリンパ節腫大を指摘できません。
診断
主膵管拡張が増悪しています。6-7mm程度。尾部は広狭不整目立つ。(図 1)
膵頭部嚢胞性病変も3cm以上まで増大している。膵尾部萎縮もやや増悪にみえます。(図 1)
→混合型IPMNと慢性膵炎の所見と思われる。
頭部にDWI高信号がみられます。頭部嚢胞内と思われる。(図 2)
体部もDWI高信号がみられますがこちらは分布や形態よりアーチファクトを考えたいです。(図 3)