事例紹介/事例19 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん
当事例の概要
健診センターの人間ドックのオプションとして、膵臓MRIドックを受診された方の症例です。
健診センターのエコー検査では指摘なし、ご症状なし、喫煙歴なし、毎日飲酒(日本酒1合)歴あり。
膵管拡張(尾部で4mm)、閉塞部位にくびれ萎縮、10mm×5mmの軽度T2強調高信号、分枝膵管拡張複数、小嚢胞等の複合的所見より早期膵臓がんの存在を指摘しました。
術後病理結果
cancer of the pancreas, distal pancreatectomy and splenectomy.
unclassifiable type,invasive ductal carcinoma(wel),TS1(5mm),ly0,v1,ne1,mpd0,pT1a,pS0,pRP0,pPV0,pA0,pPL0,POO0,pPCM0,pDPM0,LN(0/19).
撮影内容
上腹部MRI 造影 無
所見
膵管拡張、膵体尾部腫瘍疑い
・膵体部尾部の移行部付近から尾部側の不整な膵管拡張(尾部で4mm)が見られます(図1)。
分枝膵管の拡張も複数みられ、貯留嚢胞らしき小嚢胞も認めます(図1)。
閉塞部位と思われる部位に拡散高信号は認めませんが(図2)、T2強調高信号では10mm×5mmの不整な軽度高信号示します(図3,4)。
CPR像で見るとくびれ状変形を疑う部位です(図5)。
膵癌(体尾部癌)の存在を疑い、内視鏡的精査(EUS、細胞診等)望まれます。
◇軽度脂肪肝疑い(図6)
・肝内脂肪含有率(Fat fraction)は、8%と軽度の脂肪肝を示します(図6)。
(<5%;正常、5%~15%;軽度脂肪肝、15%~20%;中等度脂肪肝、20%<;高度)
肝には腫瘍疑う病変は指摘できません。
・両腎嚢胞多数あります(図7)。
・胆嚢壁や胆嚢内の病変を認めません。肝外胆管の病変を認めません。
・有意なリンパ節腫大や腹水貯留は認めません。
・副腎、脾、範囲内消化管その他に特記すべき病変を認めません。
診断
・膵体尾部主膵管拡張、膵体尾部腫瘍疑い(図1-5)
膵体尾部癌を疑い、内視鏡的精査(EUS、膵液細胞診)が望まれます。
・軽度脂肪肝疑い(図6)