事例紹介/事例21 病理診断の結果: ステージ0の膵臓がん
当事例の概要
人間ドックの腹部エコー検査にて膵尾部に隔壁を有し、主膵管との交通を認める18mm大の嚢胞性病変を指摘、近傍主膵管拡張を認め、当院にて造影MRI検査が施行された症例です。
膵体尾部に22mm大の嚢胞、主膵管拡張、分枝拡張を認め、混合型IPMN疑い、膵尾部嚢胞内にはT2WIで中等度信号、DWI高信号を示す領域あり、造影後の漸増性増強効果を示し、IPMN由来癌が疑われました。
術後病理結果
Cancer of the pancreas distal pancreatectomy,
Pt,TS2(40mm), ductectatic type, intraductal oncocytic papillary carcinoma ,non- invasive, pTis, ly0, v0, ne0, pS0, pRP0, pPV0, pA0, pPL0, pOO0, pPCM0, pDPM0, pN0(0/17).
撮影内容
3.0テスラMRI 上腹部 (造影有)
所見
当院初回のMRIです。
膵実質の病的萎縮を認めません。(図1)
膵体尾部に22mmまでの嚢胞、主膵管拡張11mm、分枝拡張を認めます。混合型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と思われます。(図2)
膵尾部の嚢胞内にT2WI中等度信号、DWI高信号を示す領域があり、造影後に漸増性の増強効果を示します。IPM N由来癌が疑われます。周囲への浸潤はありません。(図1-4)
肝S4に小嚢胞を認めます。
胆嚢に腫大、結石、壁肥厚を認めません。胆管拡張、結石を認めません。
副腎、脾臓、腎臓に異常所見を認めません。
消化管に粗大病変を認めません。
上腹部にリンパ節腫大、腹水貯留を認めません。
診断
混合型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)。
膵尾部嚢胞内にIPMN由来癌疑い。
明らかな周囲浸潤や転移はありません。