事例紹介/事例25 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん
当事例の概要
2019年に人間ドックの腹部エコー検査で占拠性病変の存在を指摘され、当院でMRI検査を施行、膵体部に微小嚢胞、肝血管腫、脂肪肝、多発胆嚢結石、胆嚢腺筋腫症疑いを認めた方の症例です。2022年のMRCPでは著変を認めませんでしたが、HbA1Cが上昇し、糖尿病と診断。2023年のMRCPでは、膵尾部の異常信号(T1WI低信号、DWI高信号)と主膵管の軽度拡張が出現していることより腫瘍に伴う変化と考え、造影CT検査、超音波内視鏡検査を推奨しています。
術後病理結果
ypT1c ypN0 Stage1A
撮影内容
MRI (造影無)
所見
2022/03/31のMRI検査と比較しました。
膵尾部にT1WI低信号、DWI高信号、主膵管の軽度拡張が出現しています。腫瘍に伴う変化を疑います。周囲への浸潤はありません。(図1-3)
膵頭体部に2mmの微小嚢胞を認めます。著変ありません。(図3)
肝実質の脂肪含有率は12%で、軽度脂肪肝です。(図4)
肝S7に10mmの血管腫を認めます。著変ありません。(図5)
胆嚢に多数の結石が充満しています。(図6)
右腎嚢胞を認めます。
副腎、脾臓に異常所見を認めません。
上腹部にリンパ節腫大、腹水貯留を認めません。
診断
膵尾部の異常信号、主膵管拡張が出現。(図1-3)
腫瘍に伴う変化を疑います。明らかな周囲浸潤、転移はありません。
造影CTやEUSでの精査をおすすめします。
膵頭体部の非特異的な微小嚢胞。(図3)
軽度脂肪肝。肝血管腫。(図4-5)
胆石。(図6)
著変ありません。