膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見に関するQ&A/ IPMNが膵臓がんになる確率、期間?
A
IPMNがすべて膵臓がんになるわけではありません。また、膵臓がんが生じる場合の発症までの期間は類型化されたものはありません。ガイドライン上も定期的な経過観察を推奨しています。
IPMNのうち特に注意が必要なものは以下のようなものです。
膵嚢胞が3㎝以上になった場合
膵嚢胞が2年間で5㎜以上大きくなった場合
膵炎または黄疸を併発した場合
壁肥厚、壁在結節が存在する場合
その他の留意事項
IPMNはそれ自体が癌化する場合と周囲が癌化する場合があります。
IPMNサイズが小さいものは大丈夫とは言い切れず、IPMNが小さくても膵臓がんを発症する場合があります。
出典
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IPMNが初めて発見された場合には初回経過観察は短めの6か月後を推奨しています。
(内容)
IPMNに関する詳細は以下のページを参照してください。
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suinouhou.html
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suinouhou.html
解説01IPMNの3つの分類
IPMNは膵管とのかかわりで以下の3つに分類されます
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主膵管型IPMN…主膵管にIPMNが発生するもの
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主膵管が拡張している場合を言います。IPMN自体のがん化リスクに加え、膵液が通る主膵管の交通が遮断されてしまうことで、がん化するリスクが加わる為、分枝膵管型に比べ、がん化のリスクは高いと考えられています。 主膵管径が10mmを超える拡張の場合には、がん化の有無に係わらず、外科手術が勧められている病院が多い存在します。
分枝膵管型IPMN…分枝膵管にIPMNが発生するもの
- 分枝型IPMNとは主膵管と交通する分枝にIPMNが出来ているもので、分枝膵管が拡張している場合を言います。
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[分枝膵管型IPMNの膵臓癌化の割合について]
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年率わずか2~3%とのHP記載があります。
- 参考URL)膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)|一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 (jshbps.jp)作成:2021年9月9日 5年間観察した結果、3.3%のIPMNががん化したという報告があります。
- 参考URL)gastroenterology2020 Long-term Risk of Malignancy in Branch-Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms Stage0の膵臓がん7例のうちの57.1%、浸潤径2㎝未満の小膵癌20例のうち80%は辺縁に占拠する癌であったとの報告があり、分枝膵管型の方が好発するという結果の論文も存在します。
- 参考URL)安川覚、柳沢昭夫:膵管がんの病理学的発育進展仮定、膵臓30:418-418、2015
混合型IPMN…主膵管と分枝膵管の両方にIPMNが発生するもの
- 分枝型IPMNと主膵管型IPMNに両方が存在するIPMNです。
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安川覚、柳沢昭夫:膵管がんの病理学的発育進展仮定、膵臓30:418-418、2015
[腫瘍の主たる占拠部位と主膵管への浸潤] -
Stage0の膵臓がん 辺縁型57.1%(4/7例)、主膵管型42.9%(3/7例)
2㎝以下の小膵癌 辺縁型80.0%(16/20例)、主膵管型20.0%(4/20例)
うち主膵管への浸潤 辺縁型87.5%(14/16例)、主膵管型100.0%(4/4例)
上記の結果、Stage0の膵臓がんの段階では辺縁型の方が多いが、その後の進展は主膵管に向かっていくものが多く、2㎝以下の膵臓がんでは18/20例は主膵管に浸潤していた。 膵臓がんの早期発見の為には、分枝膵管型のIPMNも注視すべきではないかと考えています。
参考URL)膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)|一般社団法人 日本肝胆膵外科学会 (jshbps.jp)
作成:2021年9月9日
参考文献)gastroenterology2020 Long-term Risk of Malignancy in Branch-Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms
参考文献)gastroenterology2020 Long-term Risk of Malignancy in Branch-Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms
解説02
IPMNの画像所見
以下のような画像所見ががん化の可能性が高いと考えられているものです。