事例紹介/事例11 病理診断の結果: ステージ1の膵臓がん

当事例の概要

明らかな主膵管拡張は認められませんでしたが、膵体部に遅延濃染を認め早期膵臓がんの可能性を指摘した症例です。

病理結果

Pt TS1 pT1 cN0M0 stageⅠA

撮影内容

CT(造影有)

所見

当院初回のCTです。
膵は全体に萎縮し、脂肪置換、辺縁凹凸を認めます。慢性膵炎に伴う形態変化の可能性があります。(図1)
膵体部に遅延濃染域を認めます。精査望まれます。(図1-2)
明らかな主膵管拡張を認めません。

肝は脂肪肝です。(図3)
肝内に明らかな腫瘤、異常濃染域を認めません。
胆嚢内に微小な石灰化胆石を複数認めます。(図4)
胆管拡張、結石はありません。
両腎結石、嚢胞を認めます。
副腎、脾臓に異常所見を認めません。
回腸末端部に壁肥厚が疑われ、回結腸リンパ節がやや目立ちます。(図5-6)
結腸に多数の憩室を認めます。炎症所見はありません。
前立腺肥大を認めます。
腹水貯留を認めません。

診断

慢性膵炎に伴う形態変化の可能性あり。臨床所見と対比下さい。(図1)
膵体部の遅延濃染域:早期膵がんの可能性があり、MRI、EUSなどでの精査をおすすめします。(図1-2)

脂肪肝。(図3)
胆石。(図4)
回腸末端部の壁肥厚疑い。症状、便潜血などによっては内視鏡確認ご検討ください。(図5-6)
結腸憩室。
前立腺肥大。PSAご確認下さい。

当サイト監修
Seishi Sawano, MD, PhD
澤野 誠志 放射線診断専門医
AIC八重洲クリニック 理事長 院長 / 
AIC画像検査センター 理事長
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