心臓の検査 T1マッピング検査

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心臓の検査 T1マッピング検査

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  4. 心臓の検査 T1マッピング検査

    新しい心臓MRI検査のご提案 虚血性心疾患と非虚血性心疾患(心筋症他)

  1. 心臓MRI検査は負荷心筋血流スペクト検査の代替として利用されるようになり、循環器診断に無くはならない存在になりました。また、負荷心筋スペクト検査に比較して検査料金が3分の1程度であり、患者さんの負担額も少なく、日本の医療費削減という視点からもそのメリットは非常に大きいことが知られています。
  2. 心臓MRI検査で利用される装置は1.5テスラ MRI装置が主流で、遅延造影(LGE)検査用シーケンスは、瘢痕化した心筋の検出に特化したパルシーケンスデザインとなっています。そのため、心筋症に代表されるような、びまん性に浸潤する病態(肥大、線維化、アミロイドーシス、脂質沈着、炎症など)で、かつ、広範囲に広がる心筋性状の評価には不向きで、DCM(拡張型心筋症)患者においては60%で遅延造影が見られないという報告※1も存在しています。
  3. 当院では、この問題を解決するため、シーメンス社製 MAGNETOM Skyra 3T MRI を導入し、心筋症をはじめとする「非虚血性心疾患の心臓MRI検査」に対応できる検査体制を整えました。今まで行われてきた「コントラストの強調画像」だけでなく、各ピクセル値をカラー表示して心筋全体をカラーマップ(ネイティブT1マッピング, ECV)表示することが可能です。「コントラストの強調画像」を中心とした診断はMRIの原理そのものを把握しなければならず、画像診断を専門としない臨床医の診断の妨げになっていました。近年の最先端心臓MRI診断では、ネイティブT1マップとECVマップとの双方の関連性から心筋組織性状の診断の可能性が示唆されています。
  4. T1マッピング

  5. T1マッピングでは非造影時に得られるデータを、ネイティブT1マッピングと呼んでいます。心筋肥大、線維化、梗塞病変,浮腫,アミロイドーシスなどでT1値が上昇し,脂質異常(ファブリー病:Anderson-Fabry病、AFD)や鉄沈着ではT1値が低下すると報告されています。疾患に罹患している場合,例えばファブリー病ではT1値の低下が描出されて,左室肥大の別の原因と完全に区別することができます※2。一方,アミロイド沈着では,心臓の重症度に対する既知マーカーに沿ってT1値が上昇します。※3
    1. T1マッピング画像と解説
    2. 1A 健常人T1マップ:心筋は一様に緑色に描出され正常を表す。血液は赤色である。
      1B 心アミロイドーシス:心筋内の赤色部分は高値を示す。
      1C ファブリー病と線維化:青色部分はT1値が低値しており脂肪沈着を表す。下側壁の赤色部分は線維化で高値となっている。
      1D 心筋炎:局所的な浮腫が存在しT1値が高値(赤色)を示す。
      1E 鉄沈着:鉄沈着により心筋全体のT1値が低下(青色)している。
  6. ECV(Extracellular Volume Fraction =細胞外腔容積)

  7. 造影前後のT1マッピングデータを差分し、血液と心筋におけるT1値の変化率を予め患者の血液検査で得ておいたヘマトクリット値で補正して算出します。この値が心筋細胞外間隙に相当するECV(=細胞外腔容積)です。ECVは細胞外腔の拡張に特異的なことが充分に検証されており、臨床的には、線維症、アミロイドおよび浮腫などに見られることがわかっています。特に、アミロイドーシスはECVの上昇がもっとも大きくなります。
    糖尿病患者におけるECV測定は、心不全における死亡率、または、入院の予測因子になることも報告※4されています。
    1. 心筋炎患者のECVマップ
    2. 3Aは下側壁が高値を示すネイティブT1マップで、3Bが造影後のT1マップである。造影剤投与後のT1短縮効果が大きいことがわかる。3Cはこれらから算出したECVマップで下中隔壁心筋と比べECVが高値となっていることがわかる。
  8. 4. 疾患による緩和時間の関係

  9. 種類 延長 短縮
    T1マッピング 心筋炎
    心筋梗塞
    肥大型心筋症
    アミロイドーシス
    浮腫
    鉄沈着
    脂質性疾患
    ファブリー病
    1. 1. McCrohon JA1, Moon JC, Prasad SK, McKenna WJ, Lorenz CH, Coats AJ, Pennell DJ.Differentiation of heart failure related to dilated cardiomyopathy and coronary artery disease using gadolinium-enhanced cardiovascular magnetic resonance. Circulation. 2003 Jul 8;108(1):54-9. Epub 2003 Jun 23.

      2. Daniel M. Sado, Steven K. White, Stefan K. Piechnik, Sanjay M. Banypersad, Thomas Treibel, Gabriella Captur, Marianna Fontana, Viviana Maestrini, Andrew S. Flett, Matthew D. Robson, Robin H. Lachmann, Elaine Murphy, Atul Mehta, Derralynn Hughes, Stefan Neubauer, Perry M. Elliott, James C. Moon. Identification and Assessment of Anderson-Fabry Disease by Cardiovascular Magnetic Resonance Noncontrast Myocardial T1 Mapping. Circulation: Cardiovascular Imaging. 2013;6:392-398

      3. Karamitsos TD1, Piechnik SK, Banypersad SM, Fontana M, Ntusi NB, Ferreira VM, Whelan CJ, Myerson SG, Robson MD, Hawkins PN, Neubauer S, Moon JC. Noncontrast T1 mapping for the diagnosis of cardiac amyloidosis. JACC Cardiovasc Imaging. 2013 Apr;6(4):488-97

      4. Timothy C. Wong, Kayla M. Piehler, Ian A. Kang, Ajay Kadakkal, Peter Kellman, David S. Schwartzman, Suresh R. Mulukutla, Marc A. Simon, Sanjeev G. Shroff, Lewis H. Kuller,8 and Erik B. Schelbert. Myocardial extracellular volume fraction quantified by cardiovascular magnetic resonance is increased in diabetes and associated with mortality and incident heart failure admission. Eur Heart J. 2014 Mar 7; 35(10): 657?664.
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